ファンキー末吉とその仲間達のひとり言

----第77号----

平成 15/02/19 (水) 14:30

広東省の名も知らぬ街で・・・

Wingのバレンタインライブがあると言うので、
XYZのレコーディング終了後いそいそとかけつけた。
ゲストとしてアンコールにドラムソロを一緒に叩いてくれと言うことである。

まず香港に入り、彼んとこで一泊して、
翌日大陸行きの船に乗って3時間、目的地の「佛山(FoShan)」と言うところに着いた。
広州から30分ぐらいの広東省の街だと言うが、
そんな名前聞いたこともなければ、Wingがいなければ一生訪れることもなければ、
ひょっとしたらこの先一生来ることもないかも知れない。

そんな辺鄙な街(失礼)があーた!来て見たらでかいでかい・・・
お隣の南海市と合併してめでたく100万都市の仲間入りをすると言う。
まあ広州が東京だとしたらさいたま市みたいなもんか・・・

中国は広いのう・・・

さてその辺鄙な(失礼)街での彼の大きなコンサートが執り行われる。
しかし着いていきなり言われたことが、
「文化部の許可が取れないので外国人の出演は無理かも・・・」
最初から言えよ!ってなもんである。

まあワシは北京への帰り道にちょいと寄った
(えらい遠い寄り道やなあ)
と思えばいいが、
更には日本から先日Wing来日の時に一緒にライブをやったGYPSY QUEEN
http://www.gypsy-queen.com/
もゲストとして呼ばれていて、
彼女達はそのためだけにここに来たのでまるで無駄足である。
「まあ中国ではこう言うことは慣れてますから・・・」

慣れるなよ!

まあ我々も出演は出来ないがゲストとして待遇され、
着いたその夜から接待である。
そんな時、電話がなった。
北京のS社長である。
「ファンキーさん、広州にいるの?海鮮食べようか」
陳琳御一行がちょうどその日に広州でライブだったのだ。
前回は確か同じようなシチュエーションでS社長の誘いを断って、
そのままWingとカラオケ(と言う名のキャバクラみたいなもん)
行って女の子相手にどんちゃん騒ぎして、
結局海鮮食べられなくてそこで大金落としてしまった・・・
www.funkycorp/funky/ML/68.html

念のためWingにちらっと聞いてみる。
「今日接待だったらひょっとしてカラオケ行く?」
ニヤっと笑って「行きたい?」とWing。
恥ずかしそうにうなずくワシ・・・
「じゃあ主催者に言ってみるよ」

「S社長、悪いけど今日はここ離れられないなあ・・・また北京で!」
S社長、電話を切る時に一言
「今度はお金落とさないようにね・・・」

さてもう気もそぞろである。
主催者の関係会社の大きなレストランに通され、
どどんと並んだ広東料理のご馳走に舌鼓を打ちながらビールをがんがん煽り、
心はもうカラオケ(と言う名の男の社交場)である。
食も進み、ほろ酔いになったころ、
「ファンキー、俺は打ち合わせに行くけどみんなはどうする?」
とWingが言う。
おいおい、友達ならそこんところ・・・わかってるでしょ・・・

連れて行かれたところは「夜総会(YeZongHui)」
いわゆるキャバレー(行った事ないが)みたいなもんで、
女の子がついてバンドなんかも入っていて、
カラオケと違って
部屋に入った途端にずらっと女の子が並んで選ぶと言うことはないが、
見れば一角にそれらしき女の子がかたまって座ってたりする。

よし!指名するぞ!と思えども、
よく考えたらGYPSY QUEENにはボーカルとコーラスのふたりの女性がいる。
男ってなんか横から女に見られているとアホになれないのよね・・・

うーむ・・・

いつぞや北京でとある社長さんの接待でカラオケ(と言う名の男の夢)に行った時、
そこを紹介してくれた北京在住のY嬢、
ともあろうかワシの隣にずーっと座って帰らない。
「大丈夫、ファンキーさんがどんな女の子指名するか見届けてから帰るから(笑)」
ワシ・・・緊張してろくに指名も出来なかったんですが・・・

今日の場合はY嬢がふたりいるようなもんで、
指名してもそのままずーっとワシの一挙一動に注目された日にゃあアホにもなれん。
よしこうなればその女ふたりにアホになるしかない!
とばかりボーカルのしのんちゃんとコーラスのももちゃんに
「ホステスやって!」
と両隣に座ってもらう。

後はサイコロ持って来て、数当てゲームである。
中国のカラオケ(と言う名のアホの集会)では必ずこれをやる。
負けたらイッキと言うただの変哲もないゲームなので、
日本人も6までの数字が中国語で言えたらすぐ遊ぶことが出来る。
一生懸命彼女達にルールを教えて・・・

でもワシら日本人同士中国語で何やっとるんじゃろ・・・

しばらくしてGYPSY QUEENがDJから紹介され、舞台に上がる。
ワシはWingバンドのメンバーと男同士でサイコロゲームをやる。

ワシ・・・何やっとるじゃろ・・・

次の日は本番の日。
しかしワシら外国人は出演することは出来ない。
昼メシのレストランも主催者の関連会社で、
どこに行ってもこのコンサートのポスターが貼られていて、
でかでかと「亜洲鼓王Funkyドラムの舞!」と書かれている。
これでええんかのう・・・

どうせドラムも叩かんので昼からがんがんにビールを飲む。
その後は何やら会場で取材があるらしい。
しかもワシの取材ではなくGYPSY QUEENの取材である。
ワシ・・・通訳してますがな・・・

今日の仕事(?)も終わり、仕切りが悪くでばたばたのWingを残して足裏マッサージ。
ついでに全身マッサージ。
もう軟体動物になったような気持ちでまた夕飯と共にビールを飲む。
これでええのじゃ!

会場に入ってVIP席に座らされ、
観客全員に注目されながら酔っ払ってうたた寝をするワシ・・・
ライブがもうすぐ始まると言う時にスタッフがワシを呼びに来る。
何じゃと思い楽屋に行くと、
「ファンキー、アンコールの2曲目、ドラムソロ二人で掛け合い!頼むよ!」
ワシ・・・ドラム叩くつもり全然なくってべろんべろんなんですが・・・
「絶対日本人だと言うなよ。話も短く北京語でな」
ワシ・・・そうまでして叩かんでもええんですが・・・

結局は紹介されてステージに上がり、ドラムソロの掛け合いをやり、
ついでにツインドラムでBeyondの曲も叩く。
終わって楽屋に入るとやんややんやである。
「ドラムすっげーうまいじゃないですか」
現地のスタッフがころっと態度を変えて感激して話しかけて来る。

この人たち・・・ワシを何しに来た人やと思とったんでしょ・・・

その夜は・・・ついにカラオケである。
しかし・・・VIPルームの貸切で、女の子もナシ。
そりゃWingの亡くなった婚約者のご家族とかも香港から来とるし・・・

しゃーないので
またGYPSY QUEENのしのんちゃんとももちゃんをホステスにしてがんがん飲む。
もう持ち帰りかぁ!(カラオケではこう言うシステムがある)
と思ってたら、Wingバンドのベーシストがやって来て、
恥ずかしそうにももちゃんと話を始める。
お互い片言の英語なのでワシが通訳してやろうと思い、彼にちらっと聞いた。
「お前・・・ひょっとして・・・ももちゃんのこと・・・好き?」
恥ずかしそうにうつむく彼。
「ほなええわ・・・この席お前に譲った・・・」
やっぱ目先の女より男の友情でしょ・・・

でも実はちょっと寂しい・・・

急につまらなくなったのでがんがん飲んでたらかなり酔っ払った。
いやー・・・Wingの婚約者一家・・・飲むのよ、これが・・・
ちまたでも「ファンキーはドラムも凄いが酒も凄い!」と言う伝説が出来ており、
そりゃもうみんな飲ます飲ます・・・

迷惑な伝説なんですけど・・・

翌日、GYPSY QUEEN御一行は香港に渡り、
ライブをやってそこから直接日本に帰ると言う。
ワシはチケットが取れ次第北京に帰ればすむのだが、
やることが多すぎてかスタッフがチケットを手配してくれていない。

「お前はどうすんの?」
Wingに聞いてみる。
「俺は隣町の番禺(PanYu)で取材だけど、来る?」
「番禺(PanYu)」と言えばあーた!
前作、「広州の恋」
www.funkycorp/funky/ML/68.html
でお金落としたカラオケは実は番禺(PanYu)、
つまりあれは「広州の恋」ではなく、「番禺(PanYu)の恋」が正しかったのじゃ。

「いく、いく!」
ふたつ返事である。
「カラオケ、カラオケ!」
ワシなんぞもう頭ん中はそれだけである。
それだけのためにワシはここに来たと言っても過言ではない。

それにしてもこの名もない街(失礼)でも100万都市らしい・・・
中国は広いのう・・・

昼からまたビールを飲んでいるので、
Wingが取材をしている間夕方までソファーで酔いつぶれていた。
そして晩飯。Wingがいきなりこう言い出した。
「じゃあ俺は今から香港帰るけど、お前どうする?」

お前なあ・・・

ワシの寂しそうな顔を見て悟ったのか、
「よし、俺も残ってFunkyの相手するぞ!」
やっぱ友達はやっぱいいもんである。
さっそくホテルを押さえてくれてチェックイン。
もちろん全部Wing払いである。
でも彼と同部屋なんですが・・・

そしてカラオケ(と言う名の男のロマン)。
女の子がずらっと並ぶ・・・
ワシ・・・でもやっぱ恥ずかしくて選べないのよね・・・
しばらく黙ってたらママさんが女の子を総とっかえする。
それでも黙ってたらまたママさんが総とっかえする。

「Funky、別に悪いなあと思う必要はないぞ。
お気に入りのが来るまで何度でもじっと待つんだ」
Wingが俺に耳打ちする。
そんなもんですか・・・

さすがに全ての女の子が一巡して最初の子がまた並んでいる。
ママさんもいいかげんイライラして来て、
「今日はそんなにたくさん女の子いないわよ。お気に入りのはいないの!」
「はいはい、すんまへん。じゃあさっきの黄色の服来た性格よさそうな娘・・・」

つい気迫負けしちゃうのよね・・・

Wingバンドのギタリスト、Williamはまだ選んでないので、
ママさんはまたこれでもか、これでもかと女の子を連れて来るが、
一度連れてきた娘はダメだとわかったので、
今度は出勤してない女の子に電話して呼び出してまで連れて来る。
「これはどうですか、じゃあこれはどうですか」
最後にはここの店長まで出て来て売り込みに必死である。

その間、ワシ・・・
性格のいいホステスと性格のいいオッサンの振りしてお話してるんですけど・・・

「これでどうじゃ、このおっぱい!」
えらく巨乳の女の子連れて来て、店長さん自らおっぱいをぷるんぷるんと揺らす。
正直言ってうらやましかったが、隣の女の子に悪くて興味のない振りする・・・

結局非常にいい人として横目でおっぱい見ながらヘベレゲに飲むしかないんですけど・・・

翌日はみんな二日酔い。
Wingは香港へ、ワシは北京へと帰りゆく。
カラオケ(と言う男の哀愁)しかなかった3日間だったが、
まあ友達が元気で楽しくやってくれたらそれでいい。

北京に帰ったらXYZがレコーディングしているスタジオからMailが着いていた。
もうベースは全曲録り終わり、ギターも数曲入れ終わり、
その現段階での最終形の音をネットで配信してくれる。
ワシは北京にいながらそれを聞いて、
意見があったらMailで送り、
コミュニケイションしたい場合はインターネット電話をかけ、
それでも足りなければネット経由でテレビ電話会議をすればよい。

ワシ・・・別に帰らんでもええんですけど・・・

凄い世の中になって来た。
Wingから電話があって、予定してた北京での彼の新曲のプリプロは、
Beyond再活動のリハ等があってスケジュールがとれないので、
DEMOのトラックデータをネットで送るので、
そちらで全部作っておいてくれとのこと・・・

凄い世の中である・・・

でも寂しいからやっぱ一度ぐらいはこっち来てぇ。
カラオケは奢れんけど・・・

ファンキー末吉


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