ファンキー末吉とその仲間達のひとり言

----第65号----

平成 14/07/16 (火) 17:55

 

北京ライブ、香港ライブともに大成功に終わり(そのうちレポートをHPにUPします)、
ワシは北京に戻って来て一息ついてます。

特に香港での忙しさは尋常ではなく、
懐かしい友達との飲酒の合間に数多くの仕事をこなしておりました。
特に先日ワシと和佐田がレコーディングした「香港のKinki−Kids」
と言う触れ込みでデビューした「SHINE」と言うグループが大当たりして、
その後「香港のモーニング娘」と言う触れ込みでデビューした
「クッキー」と言うグループも
現在香港のラジオチャートではバンバンOnAirされまくっている。
その続編をレコーディングせなアカンのじゃよ。

初日、着いてすぐに打ち合わせ及び飲酒。
2日目、起きてすぐ準備、
記者会見にてドラムを叩き、メンバーの到着を待って食事及び飲酒。
飲酒後BEYOND BAND ROOMにてWINGとリハーサル、
そのまま友人の開いたブルースバーで、和佐田と共にブルースセッション及び飲酒。
3日目、朝からレコーディング。そのままコンサート会場にてリハーサル。
リハーサル終了後、録り残した曲をレコーディング。その後飲酒。
4日目、朝から取材の連続。当日リハをやってから本番。
終了後FM−COCOLOの生放送を電話で受け、その後飲酒。
5日目、メンバーを送り出した後、ランチを食いながらビジネスミーティング。
その後、会場にてリハーサルの後WINGのステージでドラムを叩き、
どう言うしがらみかINXSの後にもドラムを叩き、その後飲酒。
6日目、WINGが広州でライブをやると言うのでついて行き、
ドラムを叩けと言われたが遠慮して飲酒。
7日目以降、北京に帰って飲酒。

まあこれだけで立派なメルマガネタである。
綺麗にまとめて発行してはいおしまい!

・・・王様の耳はロバの耳・・・

しかし心の中で何かがワシにつぶやくのじゃ・・・

・・・王様の耳はロバの耳・・・

人間、忘れてしまいたいことはたくさんある。
また、忘れ去ることが出来るから人間と言うのは生きていけるのである。
そうそう、忘れてしまいたいことを文章に残して記録するなど愚の骨頂である。

・・・王様の耳はロバの耳・・・

秘密を持つと人間、何かに向かってその秘密を喋りたくなってしまうらしい・・・
事件が起こった翌日、ワシはFM−COCOLOの生放送、
しかもインターネットにて毎週全世界に発信しているレギュラー番組
「A to XYZ」にて喋ってしまった。

・・・王様の耳はロバの耳・・・

それで少しはほっとして忘れてしまえばいいものだが、
それでも心の中で何かがワシにつぶやくのじゃ・・・

・・・王様の耳はロバの耳・・・

よかろう!そこまで言うならバラしてしまいましょう。
あの夜の香港での悲惨な出来事を・・・

あれは和佐田の43回目の誕生日、
前日誕生日となった12時からブルースセッションで盛り上がった和佐田とワシ。
翌日は朝からレコーディング。
不注意からベースをタクシーのトランクに置き忘れて落ち込む和佐田、慰めるワシ。
そのまま会場にてリハーサルを行い、火鍋を食う。これがアカンかった・・・
そして夜中にレコーディングすべく、タクシーにてホテルに戻る途中に
その事件が起きた。

会場は香港島、ホテルは九龍。
香港では海を渡るのに海底トンネルを使う。中国語でこれを隧道(SuiDao)と言う。
スムーズに流れてた車の流れが一瞬にして止まり、渋滞となり、全然動かなくなった。
しばらくしてラジオから情報が流れ、トンネルの中で車が燃えていると言う。
「それって大変やん!」
びっくりする和佐田、しかしもっと大変なのはワシのお腹である。
同じものを食っても腹を下す人と下さない人といるが、
あれは体力によるものも大きいと言う。
同じものを食った二井原、和佐田、共に無事だが、
ワシだけがこの数日あんまし寝てないのが災いしたのか、
突然ゴロゴロと来たのである。

「ウ・・・ウンコ・・・」

中国語でつぶやくが、運転手とてどうすることも出来ない。
「ワシ・・・もう車降りて歩いて帰る・・・」(中国語)
「帰るったって前方では車が燃えてまんがな」(中国語)
そうなのである。今ほんの数十台前の車が丸焦げになっているのだ。
「そりゃ大変やなあ・・・」(関西弁)つぶやく和佐田。
大変なのはワシのお腹である!
渋滞の中には香港名物、二階建てのバスもある。
「あ、あのバスにはトイレはついてないんでっか・・・」(中国語)
必死の思いで運転手に聞くワシ。
「ついてまへんな」(中国語)
冷たくも平然と答える運転手。

こりゃ・・・ヘタしたら隧道で野グソですかぁ・・・

ワシは一度タイの街角で野グソする老人を見たことがある。
思えばあれも下痢便だった。
歩道の街灯につかまってしゃがみ込み、軟便を垂れ流し、
捨てられた犬ころのような目でワシを見ていた。

「ワ、ワシ・・・もう歩いて香港島の方に帰る・・・」(中国語)
「香港島ったってアータ、
もう遂道の真ん中まで来てまんがな、そりゃ無理でっしゃろ」(中国語)
悲しくも冷たく言い切る運転手。

こりゃ・・・ヘタしたらあのタイの老人のように道端で垂れ流しですかぁ・・・

楽しいことを考えよう、楽しいことを・・・
SMプレイはしたことはないが、
浣腸プレイと言うのはそれはそれは気持ちがいいらしい。
「ふ、ふ、ふ・・・ウンコがしたいかね」
「お願い、トイレに行かせて・・・」
「トイレに行きたければ言うのじゃ。私は淫乱なメス豚です、と」
淫乱なメス豚って中国語で何と言うのかなあ・・・
などと考えながら身もだえしてみる・・・

「気持ちようないわい!」

ああ、こんなことならSMプレイを経験しておくべきだった。
後悔先に立たず、便意でちんちんも立たず、車の中でもだえ苦しむワシ・・・
「動き出しましたなあ・・・」(中国語)
運転手が無感動にそうつぶやく。
「早く、早く行って!」(中国語)
「早くったってそれでも渋滞でっからなあ・・・」(中国語)
そんなこんなで事故車の横をすり抜ける。真っ黒こげである。
和佐田が事故車を見てつぶやく
「凄いなあ・・・」(関西弁)
もっと凄いのはワシの便意である!

なんじゃかんじゃでやっと隧道を抜けた。
料金所でお金を払う運転手。
左手に見えるのは香港コロシアム。
ワシも一度、アンディー・ホイのバックで3日間出演したことがある。
「ここでええ!止めておくんなはれ」(中国語)
「ここで止めてどないしまんねん。
ホテルはすぐでんがな。すぐ着きまんがな」(中国語)
それもそうだ。会場でライブとかやってた日にゃあ楽屋に入ることも出来なければ、
それより何より、この巨大な会場でトイレを探しているうちにもれてしまう。

ホテルは目と鼻の先、もう見えているにも等しい距離なのだが、
いかんせんホテルに着くにはいくつもの信号を越えなければならない。
あともう少しの赤信号でついに限界が来た。
「ワシ、もう降りる!」(中国語)
車に積んであったティッシュの箱を手にドアを開け、表に飛び出した。全力疾走。
しかし運悪く、降りたところに飲食店も何もない。
公園があったはずだが、駆け出した方向とは違うようだ。
人目のつかない路地はないかと探したが、香港って何でこんなに人が多いねん!
全力疾走・・・しかし肛門と言うのは初めて知ったが、
走っていると、座って全力で我慢している時より緩むらしい・・・

ぶちぶちぶち・・・

お尻に確かな実感が・・・
しかし、これぐらいならパンツを捨てればそれですむに違いない。
全力疾走・・・しかし肛門と言うのは・・・

・・・以下省略・・・

お尻にまた確かな実感を感じながら、鬼のような形相で香港の街を疾走するワシ。
何事かとティッシュを抱えて全力疾走するもじゃもじゃ頭をやり過ごす香港人・・・
そこでワシは走りながら致命的な問題を発見した。

ワシはブリーフ派ではなくトランクス派。
しかも亜熱帯の香港では短パンを穿いている。
軟便は液体に近く、これでは膝を伝って流れ落ちて来るではないか・・・

ウオー!!!!!

雄たけびを上げながらビジネスビルの一角に飛び込むワシ。
閉店であるのかそれを阻止しようと止める警備員。
その警備員を突き飛ばしてビルの中を全力疾走するワシ。
膝にはすでに生暖かい感触が・・・

広東語で何かわめきながら追いかけてくる警備員。
生暖かいものを撒き散らしながら全力疾走するワシ。
「ラーシー!」(広東語)
警備員が口々に叫ぶ。
そうかぁ・・・広東語でも北京語と同じように拉屎(ラーシー)と言うのかぁ・・・
などとぼんやり思いながら、地下に降りる階段の踊り場にしゃがみ込んだ。
このまま汚れたパンツを脱いでそこに用を足し、
ひと箱分のティッシュでくるんで捨ててしまえば事は足りる・・・
後はこの情けない姿を人に見られなければそれでいい・・・

追いかけて来ていた警備員も、
生グソを見た途端、戦意喪失して追いかけて来なくなった。
踊り場の上には何やら警備員控え室のようなものがあったが、
出入りする人間も敢えてこちらを見ない。
人間と言うのは非常時には心を閉じてしまうのであろうか・・・

都心の中の孤独と戦いながら足についたビチグソを
ティッシュで丁寧に拭く綺麗好きなワシ。
パンツをご丁寧にティッシュでくるんで始末する几帳面なワシ。
しかしその後にズボンを穿こうとして気がついた。
ビチグソとは即ち液体。パンツのみならず、短パンまですでにぐしょぐしょである。

どうすべきか・・・

結局また全力疾走するワシ。
手にはティッシュでくるんだパンツと、まだ半分残っているティッシュの箱を持ち、
モーゼの十戒のように道を開ける警備員を蹴散らし、
街角に設置されているゴミ箱にティッシュでくるんだパンツを捨て、
ホテルめがけて全力疾走!
ズボンがぐしょぐしょですでに物凄い悪臭である。

走るワシ、よける人・・・

ホテルに着いた。問題はエレベーターである。
幸いにも知り合いには会わず、運悪く一緒に居合わせた見知らぬ乗客がいた。
そう、運が悪いのはワシではなくその乗客である。
しばしの間、ワシの物凄い悪臭と共に密室にふたりっきり・・・

部屋に着いた!すぐに浴室に飛び込むワシ。
シャワーを浴び、身に着けているものは全部ビニール袋に入れ、ゴミ箱に捨てる。
しかし問題は靴である。

ワシはドラマーなので靴は大事である。
普段から履きなれている靴なら何でもいいのだが、
生活する時もドラムを叩く時もいつもそれを履くように心がける。

ところがその靴にビチグソが・・・

一応丁寧に洗ってはみるが、匂いのほどはもう今のワシにはわからない。
一応ビニール袋に入れて封印する。
明日の朝買いに行けばそれでいいや・・・

ところが朝から取材である。
二井原には英語、ワシには中国語で喋る奇妙な取材が続き、
結局は買いに行く時間はナシ。
演奏的にはいいのよ。いきなり履き慣れてない靴だと気になって踏み違えるしね。

ごめんね、ツインペダルまで用意してくれたTom Lee楽器の方々。
ごめんね、そんな靴で踏んだペダルを
本番前にガムテープで固定してくれたうちのスタッフ。

でも本番中そのことがずーっと頭から離れず、
結局は踏み違えてしまってごめんね、みんな・・・

でもオーディエンスはむしろむっちゃくっちゃウケた!
新しい靴で叩いた次の日のドラムソロもむっちゃくっちゃウケた!
アジア・ドラム・キングの伝説はまだ続く・・・

王様の耳はロバの耳・・・・
王様の耳はロバの耳・・・・

もう忘れよう・・・

ファンキー末吉


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