ファンキー末吉とその仲間達のひとり言

----第27号----

2000/09/13 18:00

なまけものになっちまっただー・・・・

皮膚のぼつぼつはもう落ち着いて、
長袖を着てると、買い物に行っても、もう「おっ」と言われることはなくなった。
しかし疥癬虫はまだ身体に衣服に巣食っている可能性があるので、
香港から帰国後、我が家では隔離状態である。

寝てごろごろ、起きてごろごろ、
与えられたベッドと浴室だけが俺の場所である。
やることと言えばたまに自分の着た服を時々熱湯消毒するぐらいである。
子供に移るやもしれんので子育ては厳禁である。
家事一般も虫を撒き散らすことになるやもしれんので厳禁である。
ワシは言わば禁治産者なのじゃよ。

病気と言っても皮膚以外はいたって健康なので、
本来ならばパワーがありあまってしかるべきなのだが、
何故かなーんにもやる気がおこらん。

スケジュール的には上海でライブをやっとる予定だったがドタキャンのため、
昨日六本木のY2Kで本数合わせのゲリラライブをやった以外には
とりたててやることもない。

思えば香港では忙しかった。
物珍しさでそこそこ人が入ってた初日とはうらはらに、
2日目のガラガラの状況もなんのその、
3日目は立ち見が出、
最終日は押すな押すなである。
Jazzやってスタンディング・オベイションなど初めての出来事であった。

評判は評判を生み、
初日に見に来たオーストラリア人のギタリストがワシに仕事を依頼。
3日目には夕方にショッピングモールで3ステージこなしてから
Jazz Clubで2ステージやっとる。

最終日には朝11時からミーティングの後、
BEYONDのドラマー、Wingんとこの女の子のレコーディングをやってから、
五星旗2ndに収録するために香港No.1のJazzギタリスト、
ユージン・パオのソロを録音。
そのままJazz Clubにかけこんで最終ステージ。
しかしそこまででは終わらない。
BEYONDのギタリスト、PAULが、末吉が香港に来ているのを聞きつけて、
終演後は再びスタジオに戻り、彼のソロアルバムのレコーディング。
朝の5時ぐらいにハードロック叩いてるワシって一体何なんやろ・・・

五星旗のみなさんは5時20分のバスにて空港に向かうが、
ワシは間に合うわけないので直接空港に向かう。
空港で運良く合流できてこうして帰国していると言うわけである。

さて帰って来たら気が抜けた。
なーんにもやる気がおこらん・・・

何十本も溜まっているE-mailに返信する気力もなく、
「あ、X.Y.Z.の欧米でのライセンスが決まったとな・・・」
とか、
「タイプロジェクト再び始動か・・・」
などと重要なものだけに返信をして、
後は全部「一時保管フォルダ」にしまいこむ。
おそらくまたどっか海外に行く飛行機の中ででも返信を書くのだろう・・・

さて、ワシは数日ヒマだと言うことに出会ったことがない。
だいたいにして2日目ぐらいにいそいそと仕事をみつけ、
結局は忙しくしているのが常である。

ところが人はワシが伝染性の病気だと知っているのでなかなか仕事をくれん。
実は皮膚だけの病気で五体満足なんだと言っても、
「病気なんだから悪い」と思って誘ってくれん。
実は酒など飲んでも屁でもないのだが、飲みに誘ってくれん。

家でごろごろしてるとまるでやっかいもんなので、
今日は「ベッドの消毒」と称しておんもに出た。
「スミスリン」と言う殺虫剤を部屋じゅうに撒いて、
いつものパソコンバックを担いでおんもに出た。

ワシの目的はひとえに酒である。
夜隠れて飲んどると嫁にみつかってウルサイし、
ここぞとばかりに定食屋に飛び込む。
「と、とりあえず生ビール下さいな・・・」
久しぶりの生ビールに舌鼓。
「つ、つまみも何かもらってえーですかねえ・・・」
まるで犯罪でも犯してるかのような快感である。

嫁には事務所に仕事に行って来ると言ってあるので、
一応は事務所まで行かねばならない。
またその途中に「林試の森」と言う公園があるのだ。
ワシはそこのベンチで腰掛け、
最近購入したラジオも聞けるMP3プレイヤーで音楽でも聞く。
酔いはほどほどに回って、
そのベンチで横になって酔いつぶれるワシがいたりする・・・
これではその辺の浮浪者と変わらん・・・

夕方になってぽつぽつ降って来たので急いで事務所に来た。
途中の酒屋で数本買い出して・・・

見れば事務所の人々は一生懸命仕事をしている。
X.Y.Z.の2ndが秋には発売と言うことで、
橘高文彦を中心にデザインたら広告たら一生懸命やっとる。
千鳥足の赤ら顔のワシはもちろん用なしである。
居場所がない。

仕方がないのでパソコンを開いて何か仕事をしているフリをするのだが、
いかんせんやる気と仕事がない。
本来ならばX.Y.Z.レコードの金銭関係を扱うデータベースを構築しなければならんのだが、
いかんせんまーったくやる気がございません。
持ち込んだ酒を片手にこんなもんを書いてる次第で御座いますわ。

明日もきっと「ベッドの消毒」と称して、
ワシはまたビール片手に近所の公園で酔いつぶれていることだろう。
でも夜にはしゃきっとした顔で家に帰らねばならない。
酒など飲んでたこと、嫁にバレたら大変である。

あー、会社が潰れたのに嫁に言えずに
いつものように出勤したフリをするサラリーマンの気持ちが少しわかった。
これはこれでけっこう大変なのね・・・

あと数日したらまた忙しくなるんで、
とりあえずはダメ人間で数日暮らしますか・・・

ほな。

ファンキー末吉


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