ファンキー末吉とその仲間達のひとり言

----第86号----

2003/07/05 (土) 10:38

香港にBEYONDのコンサートを見に行ってきた。

香港がSARSの真っ只中で、あらゆる音楽イベントは全部中止、
人々がまだ失意のどん底だった先月初頭、
活動を停止していたBEYONDの3人が、
結成20周年を記念して香港体育館での5日間のコンサートを決行した。
人口比率で言うと日本で東京ドームを5日間やるよりも大きいことである。

その5月のコンサートはワシは五星旗のツアーで日本にいたので行けなかったが、
いろんな人から大成功だったと聞いて非常に嬉しかった。

BEYONDは結成10周年の年にボーカリストの黄家駒を日本で亡くし、
その後残された3人で数年活動を再開したが活動休止。
今年は20周年に当たり、ワシの親友であるドラムのWINGは
8年付き合った恋人との結婚をこの20周年コンサートで発表しようと計画していたが、
そんな矢先にその恋人を自宅の風呂場で亡くしてしまう。
(関連ネタ:http://www.funkycorp.jp/funky/ML/70.html、http://www.funkycorp.jp/funky/ML/72.html)
そんな彼にとって大事なこのBEYOND20周年コンサートも
ひょっとしてSARSのために中止になるのか・・・と心配していた矢先、
5日間全部超満員の大成功、
その上3日間の追加公演もやると聞いて他人事ながら本当に嬉しかった。

そんな追加公演の最終日に来いとWINGから電話がかかって来る。
行かいでか!!
当日の夕方着いてライブ見て、次の日の朝に帰ると言う強行スケジュールである。

ワシ・・・なんでそうまでするんやろ・・・
ワシなんか今度の彼のソロプロジェクト、無償でプロデュースしたもんね。
XYZのメンバーや、山本恭司さんまで担ぎ出したもんね。

まあなんか放っとけんのよねえ・・・彼・・・
彼らが日本で活動していた時に、とある取材で
「日本に来て彼女とか出来ましたか」
と言う質問に、
「WINGが彼女じゃないけど好きな男性が出来たみたいよ」
とメンバーにからかわれ、
「何言ってんだ」
と本人が否定しつつ、
「あ、お前、顔が赤くなってるぞ」
とまたからかわれたと言う記事を見て顔を赤くしていたワシ・・・

まあBEYONDいちルックスがいいと評判の彼じゃから、
ワシとしては間違いを起こしても全然やぶさかじゃないのだが、
まあそう言うこともなく付き合いも10年を越している。

バンドのボーカリストが死に、そして婚約者が死に、
そんな彼の人生の一番困難な時にそばにいれる友人として、
まあそんな花形なとこもちと見に行ってやらないかんのやないの?

開場に着いたら本人はまだ来ておらず、日本からの追っかけがいたので一緒にたむろ。
顔見知りのスタッフからVIPと言うパスをもらい、
「すごーい、ファンキーさん、VIPなのぉ」
と羨ましがられる。

すっかりその気になっててっきり賓客なんかが座るVIP席かと思ってたら
なんのこっちゃないいわゆる立ち見の業界人のパスじゃった。

BEYONDのコンサート・・・何年ぶりじゃろう・・・
・・・と感慨にふけろうと思ってたら、
考えてみたら10年以上付き合ってて生で見るのは初めて!!
ワシってなんとふがいない友達なことか・・・

ワシって彼らが日本で活動を始めた時に毎日飲んでたけど、
結局飲んだり遊んだりしているばっかりで実はあまり彼らの音楽を聞いたりもしなかった。
黄家駒が死んでから初めて彼らの音楽を聞き、
「ああ、なんて偉大なバンドだったんだ・・・」
と今さらのように思った次第である。
心から聞かせて頂こうと思ってたらライブが始まった。

演目の1曲目は黄家駒の遺作となった「遥かなる夢に 〜Far away〜」、
ワシにとっても思い出の曲なのじゃが、
3人でサビから歌って始まったこの曲、
最初のAメロをなんとあのWINGがソロで歌うではないか・・・

・・・オイシイ・・・

BEYONDが活動を停止してそれぞれがソロ活動に入り、
もともとリードボーカルも取っていた他のふたりと違って、
ドラムを離れてソロボーカルとして再スタートするのは至難の業だった彼じゃが、
ワシも日本ツアーのバックをやらさせてもらって、彼のボーカルの進歩は目覚しく、
遠慮なく言わさせてもらうと今の3人のBEYONDの中で一番上手いとワシは思う。

それにしてもAメロになったら突然立ち上がってヘッドセットのマイクでソロで歌うなんて、
・・・オイシ過ぎる・・・

黄色い声援が飛ぶ。
「キャー」ですよ、「キャー」。
ワシなんてXYZで一生懸命ドラムソロやったって「ウォー」ですよ、「ウォー」。
その昔、爆風が何でもやってた時、ドラムソロで立ち上がって
突然パンツを脱いで生尻を見せた時はさすがに女性の絶叫が聞こえたが、
それは「キャー」ではなく、「ギャー」である。
濁点がつくかつかないかではニュアンスの大きな違いがある。

人間やっぱ顔である。ドラムの腕よりはやっぱ顔である。

しかしかと言って彼自身が謙遜するようにワシは決して彼のドラムが下手だとは思わない。
彼のバックでドラムを叩いた時、
いろんなBEYONDの名曲の彼のドラムをコピーするのは非常に困った。
同じように叩いてもどうしても彼を超えられないし、
違うように叩いたらどうも曲としてそれを超えられないし、
やはりオリジナルと言うのはそれだけ凄いと言うことである。

昔かまやつひろしさんのスパイダーストリビュートをプロデュースさせて頂いたが、
「いつまでもいつまでも」と言う曲での田辺さん
(今は大プロダクション田辺エージェンシーの社長)
のドラムのオカズがよれてよれて1拍ぐらいなくなってしまっているのだが、
どうも自分が叩くとどうしてもそのよれたドラムにかなわない。
ビートルズのリンゴスターやクイーンのロジャーテイラーなど、
ドラマーとしてはさほど上手くないやん!(失礼)
っつうのにどうしても超えられない偉大さつうのと同じであろう。

実際、彼の刻むビートには「これがBEYONDじゃ!」と言う主張が非常にあり、
例えばワシが彼に代わって叩いたとしても絶対にそれを超えられない。

ワシの方が上手いのにぃ、ワシの方が上手いのにぃ・・・

まあ中華圏を代表する偉大なバンドのドラマーに嫉妬しても仕方がないので
そのままステージを楽しませて頂く。
飲んだらただのアホなんですけどねえ・・・

ワシの見ているこの位置はいわゆる業界人がたむろするところで、
いろんな大スターが実はワシの隣で見てたりして、
またそれに気づいた観客やマスコミがステージそっちのけで写真撮影したり、
これがワシの思う香港人のイヤなところのひとつである。

また香港は冷房が強すぎるのもイヤなところである。
外気と室内の温度差があり過ぎて、これで風邪をひかん方がおかしい。
だいたいロックコンサートだと言うのにこんなに寒くてええんかい!

少々寒いが、ステージもちゃんと見れるし音もよい。
特にバスドラやベースの低音がずんずんと下半身に響き、
その有名人をとりまくミーハーさえいなければ席としては言うことがない。

愛想をふりまいてたその有名人もさすがに辟易したのか逃げるように帰ってゆき、
また心置きなくコンサートが楽しめるようになったその時、
寒さのためかその下半身に響く低音のためか、
ワシ・・・またちょっともよおして来てしまったのよ・・・

ワシにとって香港は鬼門で、考えすぎているのかどうも肛門がゆるくなる。
(関連ネタ:http://www.funkycorp.jp/funky/ML/33.html)
ライブなのにぃ、ライブなのにぃ・・・
この日は追加公演の最終日、オイシイ場面でも見落としたら最後である。
一生懸命がまんする。
冷房がこれだけ効いているのに冷や汗が流れるワシ・・・
いつぞやの悪夢を思い出す・・・http://www.funkycorp.jp/funky/ML/33.html

我慢も限界に達し、警備員を突き飛ばして楽屋に入る。
誰もいない楽屋のトイレでウンコをしながら、
遠くでWINGのドラムソロと黄色い歓声が聞こえる。

ワシの方が上手いのにぃ、ワシの方が上手いのにぃ・・・

飲むとただのアホであるが、やはり中国の偉大なスーパースターであった。

ファンキー末吉(クソチビリ)


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