ファンキー末吉とその仲間達のひとり言

----第84号----

平成 15/05/27 (火) 18:06


ファンクラブイベントで、6月4日に発売されるXYZの新譜の試聴会があった。
先日の新曲お披露目ライブで大変じゃったのを思い出す。
ほとんどが2バス、しかも速い曲が多いので叩けんのではないかと思ってたが、
これがライブでは何とかなるもんなのね・・・

まあ2バスと言うのは両足を交互に踏み出すわけで、
まあ早い話全力疾走をしてるようなもんである。
ところが一度テンポを出してしまえば、もう速度を落とすことが出来ない。
ルームランナーを最速にして、
転げ落ちるか走り切るかぎりぎりの勝負をしてるようなもんである。

まあどちらかと言うとアホである。

とあるドラマーがワシのことをこう言って褒めてくれた。
「ファンキーさんって”もうだめだ”からの踏ん張りが凄いんですよねえ・・・」
なんか自分の人生観の中に「ここであきらめるぐらいやったら死んでやる」と言うのがあり、
まあ言ってみればルームランナーを崖っぷちにセッティングして、
命がけで走る大アホである。

人間死ぬとなると脳内麻薬が出てそれはそれは気持ちいいらしく、
実際バンジージャンプ等はその脳内麻薬を楽しむ遊びだと言うが、
ワシもXYZのライブではそれと同様にかなり気持ちいい。

見れば新曲ばっかりと言うのに客がみんな頭を振っている。
あれも同様の理論でかなり気持ちいいのじゃ。

中国では揺頭丸と言う薬物(違法)が流行っていて、
それを飲んでトランスミュージックに合わせて一生懸命頭を振る。
XYZが北京でやった時に、日本から追っかけて来たファン達が一斉に頭を振るので、
中国人は
「XYZのファンはごっついのう・・・公衆の面前で揺頭丸でっか・・・」
と思ったとか思わなかったとか・・・

まあ合法的にハイになれるこのヘビーメタルと言う音楽は、
少なくとも薬物よりは身体に悪いはずはないので、
みんな薬物やるぐらいだったらXYZを見に来て頭振ってて欲しいもんじゃ。

さてやる方もアホになってるが、見る方もアホになっているこのライブに、
香港から今や大プロデューサーになってしまったJ氏
(関連ネタwww.funkycorp.jp/funky/ML/49.html
が来ていた。
彼も香港のSARSから避難して来てたのだ。

しかし今や香港のKinki Kids、「Shine」と
香港のモーニング娘、「Cookies」を生み出した大プロデューサーである。
レコード会社が放っとくわけない。

「ファンキーさん、和佐田さん、また至急に1曲お願いしたいのですが・・・」
と連絡が来て、
ファンクラブイベントが終わって
日比谷の野音でのジャパン・ブルースフェスティバルに出演した後、
そのまま横浜にあるこのスタジオに飛び込んだ。

このスタジオはXYZの「PURE」をレコーディングしたスタジオで、
中華街から結構近いので気に入っている。
ドラムをセッティングしながらエンジニアのO氏がワシに聞く。
「今日はどんな曲なんですか・・・」

知らん!

まあスタジオミュージシャンなんてそんなもんである。
だいたいのセッティングをした後、J氏のデータを聞かせてもらい微調整をする。
「今日はどんな曲なの?」
J氏はニヤリと笑って譜面とデータCDをカバンから取り出した後、
おもむろにウルトラマンの人形を取り出した。

「今日はウルトラマン・コスモス!!」

香港でもウルトラマン・コスモスの放映が始まることになり、
その主題歌をShineが歌うことになったのだ。

おう・・・

データを聞かせてもらったら、いかにも「ウルトラマン」と言う曲である。
だいたいの打ち合わせをして軽く叩いてみる。
「どっかで叩いたことがある雰囲気だなあ・・・」
そう思ってはいたのだが、ミキサールームにいる和佐田を見て思い出した。
「そうじゃ、昔爆風でウルトラマン・ティガのテーマソングをやったではないか!!」

うちの息子がウルトラマンが好きで、
「うちのパパはウルトラマン・ティガの歌を歌ってるんだよ!!」
と近所に吹聴していたので、
「違う違う、歌ってたのはハゲのオジサン!!」
と否定してまわる。

そしたら
「うちのパパはウルトラマン・ティガの歌を作ったんだよ!!」
と近所に吹聴する。
「違う違う、作ったのはデブのオジサン。パパはドラムを叩いただけ!!」
と否定してまわる。
「なんだ・・・ドラムだけなの・・・」
息子よ。父の仕事はドラマーなの!!

と言うわけでウルトラマン・ティガの作曲者、バーベQ和佐田と共に、
今度は香港版ウルトラマン・コスモスのテーマソングをレコーディングしている。
感無量である。
息子よ。香港に引っ越して毎週この放映を一緒に見ようではないか・・・

数回叩いてみて、パターンを決定したら本気で叩く。録音開始である。
「うん、OK!」
J氏のOKがすぐ出る。
「早っ!!」
エンジニアのO氏が唸るが、
「ワシを誰やと思てまんねん。中国でナンバーワンのスタジオミュージシャンでっせ!!」
といばって見るものの、
「すんまへん。こことあそこを差し替えさせて下さい」
OKが出てるのに部分部分修正をする。
香港の子供達が何度もこの曲を聞くかと思うと、
どうせ人にはわからない小さな部分であろうが、わがまま言ってこだわりたい。

と言うよりワシはもともとウルトラマンとか大好きなのじゃ!!
子供のテレビマガジンかなんかの雑誌の付録を、
子供のためではなく自分のために一生懸命作っている。

「ボクは大きくなったら何になるの?」
と人に聞かれて
「ウルトラマン!!」
と答えている息子に、
「息子よ。お前がウルトラマンになれるぐらいやったらワシがなりますがな!!」
と突っ込んでいるワシである。

でもウルトラマンやったら子供をどうやって食わせていけばええんじゃろ・・・
地球のために働いてもどっからも給料はもらえんもんなあ・・・

J氏もウルトラマンは大好きで、
香港でいながらウルトラQの時代から全部見ているそうじゃ。
子供の名前は「龍生」。
仮面ライダー龍騎に似ているその子供が大きくなって
「うちのパパはあのウルトラマンの曲を作ったんだよ」
と言われるのが夢だそうじゃ。

ええこっちゃ、ええこっちゃ。
ワシも頑張りましたがな。

うん、今回の仕事は楽しかった。
これでギャラもらうなんて悪い気がする・・・

ドラマー稼業・・・ウルトラマンになって地球を守るよりは楽な仕事かも知れんなあ・・・

ファンキー末吉


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