ファンキー末吉とその仲間達のひとり言

----第78号----

平成 15/03/17 (月) 1:00

黒豹のドラマーのZ氏からまた突然電話があった。

黒豹とはワシが中国にハマるきっかけとなったロックバンド。
天安門事件の次の年、
ワシは偶然出かけた北京の地下クラブで演奏する彼らの音楽を聞いて魂を動かされ、
「これが本物のロックだ!俺も中国人になる!」
となって今に至る。

当時アンダーグランドだった彼らもその後40万人スタジアムを満パイにするようになり、
その後巨大化した恐竜が滅びてゆくかのように中国のロックはその時代の終焉を迎えた。
しかし黒豹は今やカラオケにあてぶりで全国の地方都市を廻り、
今でも金だけはうなるほど稼いでいるらしい。

中国には日本の六大都市ぐらいの都市は100を下らない。
それだけ全部まわるだけでも数年かかる。
それが終わったら日本の中都市ぐらいを廻ってゆくと5年や10年はかかる。
1曲ヒット曲があれば10年は食っていけるのである。
しかも日本ではキャバレーやスナック廻りが関の山でも
こちらでは小さくても体育館である。
どんな小さな都市にでも有り余るほどの人がいる。

凄い話である・・・

さてZ氏、「ファンキーさん」と開口一番わざわざ日本語で言う時には要注意である。
http://www.funkycorp.jp/funky/ML/60.html
の事件のように、結局「トモダチ、トモダチ」でタダ同然で使われたりする。

「ファンキーさん、零点(ゼロポイント)楽隊のドラマー、Eと一緒に
お前が叩いた許魏(シュー・ウェイ:XuWei)のアルバム聞いたよ。
決めたぜ!俺達ふたりお前に弟子入りしていちからドラム勉強し直す」

はあ?・・・

許魏(シュー・ウェイ:XuWei)は、今でこそシンガーソングライターとして、
また多くの歌手にヒット曲を提供している名うてのプロデューサーであるが、
ワシが10年前に最初に出合った頃には食うやくわずの新人で、
そんな彼からワシにドラムを叩いて欲しいと言われて10年ぶりに再会した。

彼はソロシンガーではあるが非常にバンド肌で、
結局ワシはほとんど10曲全部叩き、去年の音楽賞ではかなりの評価を受けたと聞く。

「ほう・・・お前が許魏(シュー・ウェイ:XuWei)聞いてねぇ・・・」

黒豹のドラムのZ氏は、今やドラマーと言うよりは、
「商売人の中では一番ドラムがうまく、ドラマーの中では一番商売がうまい」
と言われる、いわゆる何をやっとるやらわからん存在である。
許魏(シュー・ウェイ:XuWei)のドラムと言っても
別にそんなに手数を入れたりテクニックをひけらかすプレイをしているのではなく、
ひたすら彼の音楽性に感激し、それをリズムとして高いレベルで表現したに過ぎない。

ドラムなんて職業は、ドラムが上手ければバンドが上手いと言われ、
ドラムが下手ならドラムが下手と言われる損な職業である。
はっきり言ってよっぽど音楽がわかってないとドラムのよさなんぞわからない。
「ほう・・・こいつがねえ・・・」
特にこんなZ氏にこれほど褒められたのが滑稽であり、そしてとても嬉しかった。

「ところでファンキーさん・・・」
と切り出され、気が付けば次の日、とある監督のところに連れて行かれ、紹介された。
いつもの彼のテである。

深センで行われる大きな音楽賞授賞式のオープニングを、
今年は有名ドラマーだけでのドラムだけのパフォーマンスで始まりたいと言うのだ。
ちなみに去年は有名ギタリスト4人だけのセッションだったらしい。

「お会いできて光栄です。あなたの名前は鼓界で非常に有名です」
と監督はワシなんぞに頭を下げる。
なるほど「ドラム界」は中国語では「鼓界」か・・・
企画を大まかに説明し、最後には
「黒豹のドラムにファンキー、そして唐朝のドラマーに、あとAGAINのドラマーも呼ぼう」
一世を風靡したロックバンドのドラマーばかりである。
「BEYONDのドラマーとファンキーは仲良しだよ」
Z氏がそう言うと監督は「じゃあそれも呼ぼう」
そんな簡単でええんかい!

内容の詳細を早口の中国語でZ氏に説明する監督、
「と言うわけでオープニングとして3分のドラムだけの曲を作ってくれ」
と最後にZ氏に念を押す。
Z氏は胸を張って「まかせとけ!」とばかりワシの背中を叩く。

ワシがやるんかい!

「ドラムばっかり5人と言うと強力なリーダーが必要だ。
そいつの言うことならあとの全員文句なく従うようなそんなリーダーが必要だが・・・」
とまた監督。
「その辺は全然問題ありません!」
Z氏はまた胸を張ってワシの背中を叩く。

ワシがやるんかい!

なんか得したような損したような・・・
そんな微妙な気持ちを、彼がすかさずワシをレストランに連れて行ってメシを食わせ、
昼間っからばんばんビールを飲ませて払拭する・・・
まあ、いつもの彼のやり方である。

「そうだ、零点(ゼロポイント)のEに電話しなきゃ・・・」とZ氏。
零点(ゼロポイント)とは日本で言うとサザンとか安全地帯(古い!)と言うか、
もっと昔で言うとツイスト(もっと古い!)と言うか、
純然たるロックではないが「歌謡ロック」として
耳あたりのよいバラードのヒット曲を連発し莫大なセールスを誇っているバンドである。
中国ナンバーワンの歌謡ロックバンドと言っても過言ではない。

Z氏はこの日、この時間にE氏と約束してあり、一緒に食事でもと言うことだったらしいが、
しかし彼はまだ寝起きで出られる状態ではないと言う。
「夕方の4時でまだ寝てるんかい!」
有名ロックバンドのドラマーっつうのんも気楽な職業じゃのう・・・

Z氏の驕りでたらふく飲んで家路に着く。
着いた頃にE氏から電話があった。
「ファンキーさん」
お前まで日本語で言うな!
話があると言うので結局そのまま呼び出される。

連れて行かれたところはカラオケ!
いわゆるキャバレーの個室である。

「ファンキーさん!」
見ればZ氏もいる。
聞けばここはZ氏の会社が経営するナイトクラブのひとつだと言うことである。
「お前っつうヤツは!!・・・」
もうここまで来ると一体何をやってるヤツだか全然わからん!

超ミニスカートのホステスの眩しいほど真っ白な太ももをなでながらZ氏がワシを呼ぶ。
「ファンキーさん!ドウゾ、ドウゾ!」
ワシをE氏の隣に座らせ、隣に美女をあてがう。
正面にはE氏の兄でもあり、零点(ゼロポイント)のギタリストでもあるD氏が座っている。
いつものようにちょっと物憂げな重い話し方でワシに語りかける。
「実はファンキー、今日は実は大切な相談事があるんだ」

ワシもその雰囲気に呑まれ、膝を正して話を聞くのだが、
いかんせん隣のホステスがワシの膝に手を置いて来る。

「我々は今まで6枚、全部セルフプロデュースでアルバムを作って来た」
うんうん。
うなずくワシ、膝で手を遊ばせるホステス。

「作詞、作曲はもちろん、アレンジ、プロデュースも全部自分達でやって来た」
うんうん。
うなずくワシ、膝をくすぐるホステス。

「しかし我々は今重大な危機を迎えている」
うんうん。
更に膝を撫でるホステス。

話できるかい!

おいおい!お姉ちゃん、ワシのこと好きなんはわかった。
でも仕事のお話だからね、ちょっと待っててね。
ホステスの手をちょっとどけようと自分の手を出したら逆にそれをぎゅっと握られるワシ・・・
しかしD氏の話は淡々と続く。

「でもはたから見てて貴方達は何の問題もなく見えますが・・・」
ちょっとホステスの積極的な態度にどぎまぎしながら答えるワシ。
「そんなことはない。大きな問題だらけだ!」
Z氏がホステスの太ももを撫でながらそう言う。
うんうん。
ついその真っ白な太ももに目が行ってしまうが、慌てて見てない風に装うワシ。

「そこでだ!今回は優秀なプロデューサーと一緒に、
今の越えられない壁を一緒に越えて、バンドを次の段階へ導きたい!」
とD氏。
盛り上げ役のZ氏はその頃には
ワシの手をホステスの服に突っ込んでおっぱいを触らせる。

生おっぱいがぁ!!!!・・・生おっぱいがぁ!!!!・・・・

「そこで、我々はお前に是非我々のプロデューサーになって頂きたい!」
生おっぱいがぁ!!!!・・・生おっぱいがぁ!!!!・・・・

かくしてワシは中国最大のバンドのプロデューサーとなるハメとなった。

これでええんやろか・・・

いやええんじゃ、きっと!
日本でも桑田さんとか玉置さんとか、こうやってプロデューサーを決めているに違いない。
(ほんまかいな!)
光栄にこの仕事、受けさせて頂きます。

「頑張るぞ!と
おっぱいの感触残る手に
誓うワシ」

字余り

ファンキー末吉


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