ファンキー末吉とその仲間達のひとり言

----第39号----

2001/04/04 19:00

ところでワシはヒマである。
二井原がオリジナルラウドネスの復活、
そして今はMetalizationの英語版のレコーディング。
ワシと言えばはおふくろを麻布十番温泉に連れて来て、
その帰りにひとりでスタバに寄ってこれを書いている。

最近はデータベースソフト、Access2000のプログラマーとして、
事務所のイベント管理データベースから、
XYZレコードのリリース管理データベースから、
ファンクラブのから会計から、
そりゃそりゃもういろいろ構築した。
ワシがOLやったら間違いなく高給取りである。

こんなことやってたら音楽からどんどん離れ、
ストレスが溜まるかと思ったら実は逆で、
これがワシのリフレッシュ法なのかも知れない。
何せ小さい頃の夢は
数学の先生かコンピューター技師になることだったんやから・・・

現在は出版業務のデータベースを構築中。
XYZレコードが和佐田プロデュースとかでもどんどんアイテムを出すので、
管理楽曲もすでに30曲を超えている。
メガヒットがあるはずもないので、
労力に報われんほどの収入のために人が働くのもアホらしい。
データベースさえ構築すれば、
まずそれを開けば
どの楽曲に関する作品届、そして契約書、分配等が滞ってるか、
そしてJASRACから送られた書類をアホみたいにそのまま入力しさえすれば、
分配金から明細書までが打ち出せる夢のようなデータベースである。

もう構築に半月以上費やしている。
風呂に入ってても、道を歩いてても、
考えることはプログラムのことばかりである。
もはや頭の中はこのVBAと言うプログラム言語でモノが考えられている
と言っても過言ではあるまい。

先ほども麻布十番温泉に入りながら考えていたら電話が鳴った。
「もしもし・・・ピアノの進藤ですが・・・」
「おう、進藤くん。この前はお疲れさん」
「あのー、五星旗の2ndに入っている私の曲なんですが・・・」
「ああ、オリエンタル・フライトね」
「まだ契約書とかにサインした記憶がないんで電話したんですが・・・」
げっ・・・・
半年も前のアルバムの楽曲を、まだJASRACに登録してなかった・・・

データベース構築する前に、業務をちゃんとやっとけよってな話である。

さてこうして小さいながらレコード会社なんぞをやってたら、
知り合いから「レコード出してくれませんか」と言う話はごまんと来る。
めんどくさいのでよっぽど関係が深いところとか、
酒飲んで無理やりウンと言わされないかぎりやりたくないのだが、
そんな中でも和佐田プロデュースの
「アコースティック・パワーin関西」
と言う弾語りのオムニバスは初日に160枚とかのバックが来た。
三井はんと大村はんの売上枚数を初日に追い抜いたのである。
(何と言う低レベルの戦いなことか・・・)
まあ低レベルなら低レベルで、
会社として赤は出ずにいい音楽聞いて旨い酒でも飲めればそれでいいのだが、
先日その発売記念ライブを見に行ったのだが、
その中でも特に小竹っつう奴の歌は鳥肌もんやね・・・
こんな奴がまだ埋もれてたんかと思うとこれが非常に酒が進んだ。
日本もまだまだ捨てたもんじゃない。

聞けば小竹には双子の弟がいて、
一緒にバンブーブラザースと言うバンドもやっているらしい。
見てみたいもんだ。

最近双子に縁がある。
先日も鬼太鼓座の看板スターだった井上兄弟の新ユニット
「阿吽(あうん)」のレコーディングに行って来た。
篠笛と和太鼓とハードロックドラムの競演である。
他にもTMスティーブンスがプロデュースした、
阿吽三味線ハードロックバージョンなどもあってなかなか楽しい。

そして今度ROCOCOと言う香川県の双子のユニットをデビューさせる。
先日高松に歌入れに行って来た。
オケは東京、歌は高松など、
中国やタイでレコーディングしている私には屁の河童(死語)である。
片っ端から歌を入れて、そのデータを東京に送りつける。
もう今や全世界どこでいても仕事は出来るのである。

今回は夜総会バンドの時にコンビを組んでた
作詞の田久保さんと久しぶりにコンビを復活した。
サンプラザ中野に次ぐ私の半身のような存在である。
(下半身やったらイヤやなあ・・・)
何か痒いところに手が届くような感触でレコーディングを進めてゆくうちに、
だんだんとこのROCOCOにハマってゆく自分を感じた。
歌データを聞いた田久保さんも「これは凄いわ・・・」と感心している。
何が凄いんだろう・・・

データを整理しながら考えた。
「双子だから凄い」のである。
ザ・ピーナッツを研究して、
意外とハーモニーよりもユニゾンが多いことを発見!
コーラスラインをどんどんとユニゾンに変えてレコーディングをしていったのだが、
同時に歌うふたりの音のずれ方・・・
つまり人間なんだから絶対にぴったり同じ音程にならないのだが、
基本的に同じ声帯を持っているんだから同じ声なのに、
それが人生が違うから歌い方が微妙に違ってたり、
そんなのがお互いの出方を探りながら、
絡まりあうように音程が瞬時に落ち着くのである。
これぞ双子の醍醐味・・・

二井原なども自分の声を2度重ねたりするが、
その場合は同じ声が同じ歌い方で
前のテイクを聞きながら同じように重ねてゆく。

通常のデュエットの場合は、
違う声のふたりがお互いを探りながら絡まり合う。
ところが双子は同じ声なのに違う人間なのである。

モスラと言う映画に、ザ・ピーナッツ演じる双子の妖精が出て来るが、
双子と言うのはその妖精のように、
人間ではなく、小動物に近いのではあるまいか・・・

Puffyのふたりも区別出来ないワシは、
もちろんROCOCOのふたりを区別することは不可能だが、
声のデータを聞いて、どっちが姉の愛子で、どっちが妹の奈央子かはわかる。
「よくそんなことわかりますねえ」
とエンジニアリングもしているco-producerの仮谷くんが言うが、
性格が違うから当然歌が違うのである。

田久保さんがそんな情報を受けて、
また「人間の表と裏を歌い分ける」詞をつけて来る。
「この曲に関してはね、
愛子は人間の表を表現して、奈央子はその心の裏側を表現するんだよ」
そんなディレクションをしながら、
アーティスティックなことをいろいろ考えた。

これが通常のデュエットだったら、
違う人間が別々の人間としてひとりの人間の表と裏を歌い分けるのであるが、
双子の場合は、限りなく同じ人間として歌い分けることが出来る。
・・・深い・・・
この双子ユニット、
当分は私と田久保さんのアーティスティックな欲望の表現者となることであろう・・・

そんな話を先日アコパのライブの時に小竹にしていた。
「なあ、君ら兄弟もROCOCOと一緒にやらんか?
バンドなんかどや?
そしたら阿吽も呼んできて双子3組でなんかおもろいんちゃうん!」
「ファンキーさん、それなら7組集めて七対子(チートイツ)っつうのはどうです?」
おもろい!

よし、このメルマガの購読者に呼びかけて双子を大募集!
7組集めて・・・・
集めて・・・・
集めて・・・・

何をやろう・・・・

それより今度は三つ子を探して来て双子と組ませて
「フルハウス」っつうのはどやろ・・・

・・・とか考えつつ、うちの社長にクギを指された。
「末吉ぃ、それってネーミング以外の何が面白いとこあるの・・・」

うーむ・・・
レコード会社を持ってしまった今となっては、
出そうと思ったアイテムは何でも発売出来るのは非常に危険である。

とりあえず夏頃には双子ばかりを集めたイベント
(アメリカで以前やってて騒がれたよね)
をやろうと思う。
誰か双子おったら紹介して!

ファンキー末吉


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