ファンキー末吉とその仲間達のひとり言

----第15号----

2000/04/11 06:30

X.Y.Z.はただ今ツアー中。
広島から始まった今回のツアーも、
お好み焼きから始まって、各地の名産ブタの元である。
(太るのよ、これが・・・)

そんな中で、広島のお好み焼き屋での和佐田と友人との会話。
「いやー、サンフレッチェが勝ててなかった頃なあ、
森安に向かって”やる気ないプレーすんな”言うたサポーターがおってなあ、
さすがの森安もそれに切れて乱闘や」
スポーツ無知の俺もちょっとは会話に入りたい。
「なに、なに?何の話?」
話に交ぜてもらおうとする俺を和佐田が遮る。
「末吉っさんに話しても無駄やで。
何せラモスとジーコを知らんかった人やからなあ。
食べるもんやと思てたらしいで」

バカにすんな!
そりゃサンフレッチェは食べもんかなあとは思とったけど・・・

まあその日の話で俺がわかったことと言えば、
「サッカーも野球もロックも同じや。
スタジアムに人集めて熱狂させる。
それだけや!」
わかるようなわからんようなである。

と言うわけで、
今回はスポーツの話題とはまるで関係なく、
X.Y.Z.の海外進出について。

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先日いきなり一本のMailが来た。
「X.Y.Z.は海外進出すると言いながら、現状では何もやってないのと同だ」
この1行だけである。
もちろんどこの誰ともわからん。

俺はカチンと来てResを書いたねえ。
「何も知らずに中傷だけをしたいならMailなんか送ってくんな!」
しかしそのMailはReturn Mailとして戻ってきた。
アドレスを見ればdocomoメールなので、
携帯から送って、受けるのは出来ないようになっているのだろう。

いやー、森安の気持ち、わかったねえ。
(森安と言う人が誰なのかはわかっとらんが)
サポーターとて「頑張って欲しい」のを気持ちにして言ってることなのであろう。
ところが選手とて、頑張ってないはずがない。

江夏が言うとった有名な言葉
(江夏と言う人も実はあんまりよう知らんが)
「江夏、頑張れよ」
と言う言葉に対して、
「頑張ってまんがな」
この一言である。

なんや、スポーツっつうのもロックとよう似てるかも知れんなあ・・・


さて世界進出を目標に結成されたX.Y.Z.であるが、
実際ファースト・アルバムはL.A.でレコーディングされたものの、
その時に予定されていたL.A.でのライブも結局実現せず、
去年山のように予定されていたアジアでのイベント、
上海、北京、シンガポール、韓国、etc.
全て見事に流れてしまった。
結果X.Y.Z.はこの狭い日本でしかライブをやっていない。
まあこれ事実。
熱いサポーターともすれば、
じれったくってMailの一本も送りたくなろう。

でもまあ、わたしゃもう慣れてますわ、この海外のイベントのいいかげんさ。
二井原なんかに聞くと、アメリカなんかでも
あんなでっかいイベントが、どうしてこんな間近になってからじゃないと決定にならんの?
っつうことが多々あるらしい。
いわんやアジアである。
(アジア蔑視な発言ですまんのう。でもまあ、この俺が言うんやから許して欲しい)

それでもラウドネスはアメリカに住んどったからええ。
別にイベントが没ってもどの道アメリカでおる。
中国の歌手は別に直前にイベントが決まろうが流れようが、
空いてたら行くし、忙しければ断る。
ただそれだけのことである。

ところが俺達と来たら、
数ヶ月前からスケジュールを押えて、
プロフィール作って資料送って、
ビザを取って、チケット予約して、
そいでもってぎりぎりになってドタキャンである。

話は全然変わるが、
伊達弦と言うパーカッショニストがいる。
あるミュージシャンのところに電話をして、その奥さんが電話に出た時の話。
「もしもし、伊達弦です」
「は?」
「伊達弦ですが・・・」
「はあ、そうですか・・・」
「?・・・」
「ちょっとお待ちください。あんたー、あんたー、ドタキャンらしいでぇ」
ドタキャンちゃう!伊達弦やっつうねん!

失礼しました。
そんなこんなで、海外のイベントは鵜呑みにして信じていると、
その押えられているスケジュールの間は何も活動が出来ないので、
結局ある一定の期間を棒に振ってしまうこととなっていまう。
結成間もない新人バンドがそう言うわけにもいかないので、
結果海外イベントは犠牲にして国内ツアーのようなはっきりした活動を最優先にする。
仕方ない。今スケジュールを遊ばせるわけにもいくまいよ。

まあ後は海外に住むかである。

まったくもって二井原実と言う人間は器がでかいと言うかアホと言うか。
当初日本のレコード会社をあきらめていた俺は、
アジア最大のレコード会社、Rock Recordをはじめとして、
香港の俺のエージェントにこう言っていた。
「どこの国のレコード会社でもええ。
手ぇ挙げるとこあったらその国に住むから。
とりあえずはボーカリストだけ送り込んどけばえやろ」
まったくもって無茶を言っていたもんだ。
当の二井原も、「別に歌うたえるんやったらどこで住んでもええで」と気楽なもんである。
まかり間違えば俺らは今、台湾とかマレーシアで暮らしているとこだった。
まあ縁あって(縁なくて)こうして日本に住んでいるが、
なんじゃかんじゃと海外進出のための準備は着々と進んでいる。

まあ海外にライセンスするためには、まず英語版のレコーディングであろう。
現在ツアーの合間をぬって二井原は全曲英語版をレコーディング中。
しかしこれとて経費はかかる。
また100万単位で経費が出てゆくのね・・・

X.Y.Z.レコードは今のところ順調で、
キングレコードの同じセクションの中ではダントツの売上なのだそうだが、
いかんせん何をやるにも金と言うものは出て行ってしまう。
キングが立て替えてJASRACに支払った著作権料も、
いきなり100万単位で請求が来る。
自分がもらうべき金をなんで自分で払わなアカンのか合点がいかんが仕方がない。
挙句の果てにはキングに送る計算式が違っていたらしく、
「末吉さん、多く支払い過ぎてますんですぐ返して下さい」
「おいくらですか?」
「130万円」
「あるかい!」

まあそんなこんなでやっとキングからの入金が始まり出した今日この頃であるが、
気が付いたら次のアルバムのレコーディング費用を支払わなければならない。
また何万ドルも要るのよ・・・

資金を集めてくれた嫁よ、そして嫁の親族よ。
俺ら攻めつづけとる限り借金は返せんわ!
すまんのう・・・

ファンキー末吉


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