ファンキー末吉とその仲間達のひとり言

----第144号----

2009年5月29日

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ストリングスアレンジは楽し!(難し!!)

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結成十周年記念で毎月ライブをしつつ毎月新曲をリリースしている。
今月の23日には5枚目のアルバム「Wings」を再現しようということで、
何とライブにストリングスオーケストラを呼ぶことになった。
今一生懸命アレンジをしている。

ワシが最初にストリングスを書いたのは1995年、
ソロアルバム「亜洲鼓魂」のレコーディングでのことである。

当時はまだ便利な楽譜編集ソフトなどなかったから大変であった。
パソコンで打ち込んだMIDIデータを見ながら手書きで10段譜以上の譜面を書いてゆく。
ヘ音記号、ト音記号まではいけるが、ビオラはハ音記号なのでやっかいである。
当然音符にミスがたくさん出る。

ひとつひとつチェック・・・

それだけではない。
ブラスやストリングスなど生楽器というものは使う音域によって響きが全然違うので、
同じドミソでも選んだ音域によって和音の響きが全然違うのである。

そして今でも時々間違うことがあるが、
シンセでは音が出てても、実際には生楽器の音域から外れてる場合もある。

ひとつひとつチェック・・・

ええい!!出来るわけないやないかい!!
というわけでその時はさすがにプロの手を借りた。

オーケストラアレンジャーの松原さん。
「大きな玉ねぎの下で」のオーケストラバージョンをアレンジしてくれた人で、
更には爆風スランプの映画「バトルヒーター(あったなあ・・・そんなん)」
のサントラを担当した人でもある。

松原さんが譜面をチェックしてくれたり直してくれたり、
更には木管を書き加えたり書き下ろし部分を作ってくれたり、
こうして今では中国のロックのスタンダードとなった「亜洲鼓魂」は完成した。
言わば松原さんは私のストリングスの師匠である。

あれから師匠の教えを胸に抱いてひとり立ちした。
日本のオケの人には意地悪な人もいて、
わざとミストーンをしてアレンジャーの耳を試したり、
あの手この手でアレンジャー潰しをやる。

それに耐えながら耳と腕を鍛え、
映画「香港大夜総会」のサントラや、
ノイズファクトリーのフルオーケストラアレンジや、
キム・ヨンジャのアレンジをした時にはディレクターに
「ドラマーがどうしてこんなこと出来るの?」
と言われてちょっとこそばゆかった。

中国に渡ってからも、もう数十曲にわたってストリングスを録音した。
この「Wings」もそのひとつである。
今では一声かければ小沢征爾が使うオーケストラが集まる。
(まあ奴らはギャラさえもらえば誰のアレンジでもやるのであるが)
もうみなさん顔なじみである。
冗談を交わしながら、あの難解な変拍子の曲を30分で録り終えてしまった。
やはり相当な腕前であると言えよう。

まあもし中国でライブをするならその連中に来てもらったり、
予算の都合もあるなら音楽大学の学生に来てもらったり、
大きなコンサートでも当てぶりの学生を呼んだりしているので、
まさかブッキングと言うものに困り果てるとは夢にも思っていない。

「末吉さん、ストリングス本当に大丈夫ですか?」
と心配するスタッフに
「何言うてんねん!
日本にやってどれだけの学生とアマチュアオーケストラがある思てんねん!
大丈夫!大丈夫!」
とタカをくくっていたら、
これがまた当たっていた全ての学生のオーケストラ、
全ての街のアマチュアオーケストラなどは全てNGであった。

万事休すである。
途方に暮れながら電話帳のデータを隅から隅まで開いていたら、
ふとこの松原さんのデータが見つかった。

当時の電話帳のデータである。
携帯電話などない時代、当然自宅の電話番号しかない。
ダメもとで自宅に電話をして、
ご本人かどうかわからない留守番電話にメッセージを入れた。

もしこの電話が松原さんの電話でなければ、もう次のライブは
「告知しておりましたストリングスオーケストラとの競演は中止になりました。
メンバー4人による演奏でお楽しみ下さい」
という羽目に陥っていたのであるが、
待つこと半日、何と松原さんから折り返しの電話があった。
奇跡的に10年間引っ越してなく電話番号が変わってなかったのである。

無理を承知で頼んでみたら快く引き受けてくれた。
持つべきものは師匠である。

北京に帰り、「Wings」の譜面を探し出し、
86442の譜面を6422に手直しする。
(コントラバスを外して、大編成を中編成に直す)
このライブのみでしか聞けない書き下ろし曲は
師匠と分担して今アレンジをしているというわけだ。

どんなライブになるのか蓋を開けてみなければわからない。
失敗したら失敗したで、
成功したら成功したで、
泣いても笑ってもこの日だけの「1 time performance」となる。

X.Y.Z.→Aの歴史、いや日本のロック史に残るライブにしたいと思う。
スケジュールの合う人は是非見に来られたし!!

4/10gig 5月23日(土)高田馬場 club 1ne 2wo
OPEN 17:30 START 18:00 (問)ザックコーポレーション 
03-5474-9999

【チケットぴあ 0570-02-9999 (Pコード:319-267) ローソンチケット 0570-084-003 (Lコード:72830)
CNプレイガイド 0570-08-9999 ・ イープラス http://eplus.jp/】


そして、その打ち上げは・・・下記に続く・・・

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X.Y.Z.→Aの店がオープンする!

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Kさんという男がいる。

上海で上海人の奥さんと共に居酒屋を出して大当たりし、
故郷の長崎で居酒屋を出して大当たりした男であるが、
しかしこの男、シモの方に少し問題がある。

長い付き合いなのでワシは上海の奥さんとも知り合いだが、
X.Y.Z.→Aが長崎にツアーに行った時に連れて来た女性は違う女性だった。
「彼女です」と紹介されるが、
嫁とも子供とも会ったことがあるワシとしては少々複雑である。

中国人の気性はじゅうじゅう知っているが、上海人となればもっとキツい。
いや、現実的とでも言うべきか、
そんな嫁にこのことがバレたらどんなことになるのじゃろう・・・

恐ろしや恐ろしや・・・

数年経って爆風スランプの再結成の噂を聞きつけたKさんから電話があった。
「コマ劇場見に行きますよ。彼女と子供連れて」

彼女と子供一緒にしたらアカンじゃろ!!

「あれ?言ってませんでしたっけ?
彼女に子供が出来たんですよ」

もっとアカンじゃろ!!

最近の電話の転送技術はもの凄いらしく、
上海の嫁から長崎の店に電話がかかって来た日にゃぁ、
店長をはじめとして従業員一同大きな緊張が走る。
電話をとった店長、
「Kさんですか?今調理場です。ちょっと待って下さい」
と言って保留にし、すぐさまKさんの携帯に電話をする。
「大変です!奥方から電話ですよ」
と言ってその電話をKさんの電話に転送し、
Kさんはあたかも仕事をしてるように答える。

「今ちょっと忙しけん、後で電話するばい」

こんな綱渡りを繰り返しながら子は育つ。
そしてシモの方は相変わらずまた同じようなことを繰り返す。

「ファンキーさん、今度は2号ならぬ3号が出来まして」

「アホか!お前は!!そんなことやっとったらそのうちバレてまうぞ!!」
と言い残してから数ヶ月後、また電話があった。

「2号のことも3号のことも全部バレてしまいました」

そりゃそうじゃろ!!
彼の上海での全ての商売、不動産は全て嫁の名義である。
この事件で当然ながら離婚、
彼が失った財産は億を超えると言う・・・

そんな彼とワシの付き合いはもう20年近くになる。
一緒に仕事こそしたことないが、
ワシが商売関係でひどい目にあってるのを見ていつも
「ファンキーさん、今度は僕と是非何か一緒にやりましょう」
と言い続けてくれて20年、
縁あってここに一緒にX.Y.Z.→Aの店をやることと相成ったのである。

まあ店を立ち上げると言ってもワシがやることは、
「ホルモンとホッピーでファンキーセットっつうのを作ってくれ」
とかお気楽なもんである。

まあクリエイティブなことと言えば、
八王子在住の盲目の天才ギタリスト、田川くんに
「毎週日曜日ここでライブやってや」と電話したり、
セッション王の和佐田に
「X.Y.Z.→Aの店なんやからここでセッションやってや」と電話したり、
とどのつまりには八王子近郊に住む江川ほーじんに
「何でもええからここでセッションやってや」と電話するぐらいなもんである。
江川ほーじん爆風脱退後、
この爆風初期のリズムセクションが20年ぶりに一緒に音を出すのは
ひょっとしたらこの店かも知れない・・・。

ところがライブは週末しかやらないのに
ワシは週末はいつもPairのツアーで中国各地のライブハウスに駆り出されている。
夢のセッションはいつのことになるのやら・・・。

と言うわけで現在店は着々と内装工事中。
親はなくとも子は育つ。
ワシがいなくても店は出来る。
Kさんは長崎から4tトラックに材木を満載して、
大工さん、そして地元のボランティアの人達と今店を作っている。

23日、X.Y.Z.→Aの高田馬場でのライブが終わった後、
プレオープンとしてそのままファンを連れてファンクラブ会をやることになっている。

そして翌日の24日、田川くんのライブから本格的な営業が始まる。
ミュージシャン仲間に声をかけて八王子でしか見られないセッションをブッキング中。
まさにX.Y.Z.→Aファミリーとも言うべきミュージシャン仲間が八王子に集う。

お暇な方は是非いらしてみて下さいな。
めったに入らない珍しい焼酎と、
Kさんが腕によりをかけた素晴らしいツマミが皆様を歓迎します。

Live Bar X.Y.Z.→A
横山町7−6
東亜建設第七ビル5F
042−656ー0910
http://www.blasty.jp/barxyz/
mailto:livebarxyz@gmail.com

【JR八王子駅から】
JR八王子駅北口を出て左方向へ進み、
一つ目の信号「三井住友銀行」左側に伸びている西放射線通り(ユーロード)に入
り、
前方「長崎屋」の角右折、
前方「八王子温泉やすらぎの湯」を越してファミリーマート隣の5F。
徒歩5分。

ファンキー末吉


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